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「語りかけ」育児のススメ

サリー・ウォードの「「語りかけ」育児」について、以前の記事を編集して再掲します。

トムの出産前後に育児書として話題になっていたこの本。買ったものの話をする気配のないトムには無縁と決めつけ、しまいこんでいました。ところが読み返して、目次の手前、かなり目立つ場所に紹介されている、翻訳に関わった方々の肩書きに目を奪われました。それぞれ、療育園、LD協会、子ども発達教室、地域療育センター、福祉センター…、発達障がい児ケアの最前線におられる方たちです。

…実はトム向け?


言語の習得に関し、サリー・ウォードが「「語りかけ」育児」で著していることは、主として次のようなことです。

 

毎日30分間、テレビなどをシャットアウトして親子2人だけの静かな時間を持つ(兄弟も分離する、他人の出入りもなし)

■ 完全に話しかけに徹するのみで、「これは何?」などと言葉を言わせようとは絶対にしないこと

■ 言語発達には、聞く力と注意を向ける力の向上が不可欠であり、それを伸ばすための語りかけを行う必要がある

■ ことばが発達すれば、知的能力も伸びる

■ 子どもの時期にはおとなの脳の2倍以上のシナップスを持っているが、あまり使われないと10歳を過ぎる頃からだんだんなくなってしまうとされている

■ 早期教育は子どもにとって負担になるし、そのような教育を受け入れる準備ができていないと不安や嫌悪感がうまれ、逆効果になる

 

これらのことが、月齢・年齢に応じて、事例や具体的な取り組み方、その月齢・年齢の子どもの様子などを交えながら繰り返し伝えられています。

 

で、それらを〈現在のトムに具体的にあてはめた場合〉、取り入れられそうなことをピックアップしてみました。

 

● 子どもの視線に合わせ、子どもが見ているものについて話す 

● 短い簡単な文で、ゆっくりしゃべる。単語や文の間にちょっと休みを入れる。一方的に話さない(「返事をする」間をとる)

● 言いたいことを代わりに言って表現してあげる

● こどもが言ったことにもう少しことばを付け加えて返す:「ママはお買い物」「そう、ママはお買い物に行ったの。新しいくつを買ったのよ」

正しい文法を用い、名詞をたくさん使う 

● 子どもの出した音を真似て返す 

● 繰り返しを多用する・語呂のよい言い回し・遊びの音(擬声語や擬態語)を使う

● 身振りをたくさん使う・言いたいことを子どもに見えるように示す

● 静かな中で音を出し、聞くことを楽しめる手助けをする 

● 繰り返しや動きのあるわらべ歌で、聞くことは心地よく、面白いと思える体験を、こどもにさせる

 

「こどもが言ったことにもう少しことばを付け加えて返す」というのは新しい発見でした。同様に、「子どもの出した音を真似て返す」ことも、オウム返しを恐れず、もっと意識してどんどんやっていきたいと思います。

これらに加え、トムの場合、節をつけて語りかけると指示が通りやすいし、集中してもらえるという我が家のルールがあります。これは「聞くことは心地よい」の応用かも。

 

語りかけの際に〈とくに注意すること〉として、

 

◆ 「これ、なあに」というテストは厳禁 

◆ 実況放送的な話し方をしても子どもがちっとも聞いてくれない理由は、子どもの注意が他に向いているから

  → 子どもがその瞬間に考えていることにピッタリ合っていることを話しかけてやれば、ちゃんと聞いてくれる。むりやり集中させても意味がない。こどもがいちばん学習するのは、こどもの選んだものにおとなのほうが合わせてくれたときである

◆ 集中力がないように見えるのは、ひとつのことしか考えられないから

 → 会話の途中、遊びの途中で、こどもがほかのものに注意をそらしたときは、すぐに話したり遊んだりするのをやめる。何を話すか、何で遊ぶかの主導権は、こどもに

◆ こどもが発音を間違ったときは、そのことばを短い文中で何度も言って返す

◆ こどもの文章が混乱していたり間違っていたときは、「そう(そうね)、・・・」からはじまる言葉で代わりに言う

◆ 子どもの言ったことがわからないときは、「ごめんね、よく聞こえなかった」と言い、聞き取れないのはおとなの責任であるとこどもに思わせる

 

むりやり集中させても意味がない」「何を話すか、何で遊ぶかの主導権は、こどもに」は、本当に耳が痛いです。これは、、、よくやる。今日の日記のもとになる文章、数ヶ月前に書いたのに、すでに忘れている私…。とほほ。

「トムって集中力があるのね」が周囲の幼稚園ママたちの一貫した感想なのですが、私の目には「なんで、こんなに集中力が続かないんだろう」と思うことばかり。自主性があるかどうかがミソだったんですね。大人もそうですよね。。。

 

「語りかけ育児」の時間以外に気を配ること〉として、

 

◆ 子どもに一日の予定を話してやる

◆ 「いすからおりたあと、歯医者さんが何をしたか覚えている?」などのできごとの流れを思い出させるような質問をする。こどもが返事をしなかったら、かわりに言ってあげる。ただし、強要はしない。回数も少なく

◆ 何について話しているかをはっきり子どもに話し、会話の仲間入りをさせてやる

 

これ、トムたちに必要なスケジュール提示やフィードバックを平易な言葉で言い換えてるんですよね。夜、寝る前に、「今日あったこと」についての振り返りは語りかけ形式でよくやっています。それをすると、とても満足そうな顔をして眠りにつくので。頭と心がクールダウンするのかな。

 

トムのための私的なメモにつき、他の方には必要な部分が抜けていることもあります。本書の全体を見渡すためにも、ぜひ一読をオススメします。読んでいると、心を寄り添わせることの大切さを実感しますし、励まされます。育児書としてもたいへん良い本だと思います。

章立てが月齢・年齢ごとになっているうえ、留意すべき点が文章に埋没しているので、わが子に「どのように語りかけるべきか」がわかりにくい構造になっています。とくに発達が凸凹なゆっくり系の場合、具体的にどんな働きかけをしたらよいのかについては、全ての月齢・年齢をあたり、自分の子をよく観察し、トライ&エラーを繰り返して体得するしかないようです。

時間をかけて読み込む必要あり。が、その価値もあり。願わくば、このメンバーによる、本書を踏まえた発達障がい児用のテキストを入手できれば良いのですが…。

 

「語りかけ」育児」では、発達の段階に応じた遊びやおもちゃ・絵本の紹介にもページが割かれています。

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コメント

>言語発達には、聞く力と注意を向ける力の向上が不可欠
>ことばが発達すれば、知的能力も伸びる

で、言語野と手指の感覚野は 隣同士なので、手指を使うと 言葉も発達する、と 言われているのよね。

>言いたいことを代わりに言って表現してあげる

それでいいのよ。
「ちゃんと お口で言って」なんて、言わずに・・。

>「何を話すか、何で遊ぶかの主導権は、こどもに」
>「子どもの出した音を真似て返す」ことも、オウム返しを恐れず、もっと意識してどんどんやっていきたいと思います。

>夜、寝る前に、「今日あったこと」の振り返りをすると、とても満足そうな顔をして眠りにつくので。頭と心がクールダウンするのかな。

うわぁ~(*^^*)。
「日記に 書いとく」が まだ出来ないので、思い出がこぼれそうで 不安になるかな?「そうだった、そうだった。」と 噛みしめられると 幸せなのかな?

投稿: ハルエさん | 2009年5月 6日 (水) 16:38

■ハルエさん

この文章はもともと数ヶ月前に書いたんですが…全然進歩のない私です…。

投稿: Yoshiko | 2009年5月10日 (日) 16:13

語りかけ育児をしようと向かい合うのですが、すぐ気が散ってしまうのでどうしたらいいか分かりません。少しずつ、1日トータル30分でいいのでしょうか?

投稿: ジル | 2011年12月23日 (金) 07:38

ジルさん、こんにちは。
こんな昔のブログにコメントいただき、ありがとうございます。

お子さんやジルさんのことをよく存じ上げないので、具体的にはなかなか申し上げにくいのですが、ジルさんが困っているご様子はわかる気がします。わたしもそうでしたし、今も気を抜くとそうです。

個人的には、時間にはこだわらなくてもいいのかなと思います。あくまで指標ですし、著者の理想なのだと思います。

この本に限らず、この本を訳した日本のSTのチームなどの基本的な考え方として、何かに注目するのが苦手なお子さんには、無理に(大人の望む)何かに注目させるのではなく、その子の関心事や目の先にあるものの楽しさをまず大人が共有し、共有したものに対する気持ちを言葉にする。その子の口の代わりになってあげることが、まずは大切、というのがあると思います。

いきなり三十分は難しいですよね。無理なさらずに、毎日数分でもお子さんの心に寄り添う時間があると、少しずつ知らぬ間にその時間が増えていくことがあるかもしれませんよ。急がば回れ、を、子育てで実感しているわたしです。

投稿: yoshiko | 2011年12月23日 (金) 13:22

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