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タスク・オーガナイゼーションの意味と効果

先日、タスク・オーガナイゼーションの大切さと効果を実感しました。

文字を書くのも文章を書くのも、〈左→右〉〈上→下〉だから、パズルもその順序ではめさせるのを徹底させるべき」というのが、トムの通う療育推奨の「タスク・オーガナイゼーション」に関する説明です。で、その延長線上に、「利き手を決める」というルールがある。

でも、たとえば縦書きなんて右から左だし、ちょっとこじつけっぽくてその説明ではよくわからないなあと思っていました。それで、わたし自身、その部分に納得できずになかなか取り組めなかったところがあります。

しかし、先月のアセスメントや以降の療育で、両利きゆえ机上学習の際に両手が出がちだったトムの左手に輪投げの棒を握らせた(右利きに強制固定した)途端、目つきがしゃ きーーーんとなって、今までできなかった(ように見えていた)パズルやタイルならべの課題を見たことないスピードでクリアしているのを見たんです。

これか〜!と。やっと、両手利きをやめさせることの効果を実感しました。もうビックリでし た!!!!!

気が散ってたんですね。

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同様に、パズルの一つ目のピースをきちんと左上から置く練習を続けると、あるいは利き手を定めてもう片方の手を添えることを徹底すると、新しい課題や難しい課題にぶつかったとき、ひいてはひとりで社会に出たときに、

■ 「困ったら、まず左や上を見て手がかりを探そう」という姿勢が身につき、

■ 両手でやみくもに操作するよりも落ち着いて利き手だけで手がかりを探すようになり、

■ たとえ情報過多で気が散ってしまいそうになっても、「何を見るべきか」「まず何をするべきか」で困ることが少なくなる

ということなんだと。そこからはもう、スルスルとわかっていきました。

構造化されていない空間でも、自分の思考や手順を体内で早めに構造化しておけば、パフォーマンスもあがるし、生きやすくなる…と、そんなふうに、私は理解しました。


いまのトムに療育でパズルを使う際、難しいパズルが完成させられるかどうかよりも、そういった姿勢を叩き込むツールとしてパズルを位置づけています。なので、難しいパズルが できることをよしとする意識を一度脇に置き、構造化を身体に叩き込むためのツールとして位置づけなおさないといけません。

昨日までと同じ教材にも関わらず、今までとは使い方や意味を変えるというのは、少なからず抵抗があります。

でも、学級閉鎖中にトムが久しぶりにくもんのさんかくたんぐらむをしたところ、右手だけを使って全てのクイズカードで三角ピースを左上から順番に置きはじめ、最後の難問までどんどんクリアしていくのを見て、やっと効果と意味を実感できました。療育をはじめて1年目にやっと、です。

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(分かりにくいですが、写真では、輪投げの棒のかわりに色水入りのペットボトルを使っており、かつタスク・オーガナイゼーションがうまく整った結果、途中からトムは無意識に手をクイズカードに添えています)


同じく、ご褒美がわりにやっているトーキングカードも、今までは1人でやっていると、タイミング良くカードを機械にはさんだり抜いたりする部分で、 タイミングがわからなくなり途中で必ず破綻していたのが、左手を固定するだけで、ものすごく順調に最後まで正しく使うことができました。

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特に、左側の箱にカードをしまうときには、つい左手が出てしまったのが、右手に徹底することで、次のカードを右手でとる動作が素早くできていました。今までは何だったんだろう?と思うくらいの違いです。

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新しいことに取り組むときのルールをあらかじめ合理的に決めてしまい、身体に叩き込む、というのは、少なくともトムにはすごく有効なんですね。


こういうAHA体験を共有できると話は早いんでしょうが、お金を払って定期的に療育に通っている親でさえ、こうですからねー。それも、療育のスタッ フの方たちのことは、今までの経緯や成果を踏まえてとても信頼している。その上でもそうなわけですよ。

タスク・オーガナイゼーションって、専門家の支援なしに効果的に家庭に取りいれたり、学校に説明したりするのは、実に難しいことなんだろうなあとも改めて思いました。

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◆ 家庭療育」カテゴリの記事

コメント

少し前から虹色教室からこちらにおじゃましております。いつもお子さんに対する真摯な姿勢、洞察力に関心しながら拝見しておりました。私には発達障害の疑いのある子供がいて、利き手の問題で人知れず悩んでいたのでたいへん参考になりました。うちの子供はおはし、字を書くは左手ですが、スプーンをもつ、ボールを投げる、などは右手なのです。利き手がはっきりしないのが発達障害の子どもの特徴の一つでもあると聞いたことはありますが・・・。利き手を右に統一するかどうかまたちゃんと考えたいと思います。ありがとうございました。

投稿: まろん | 2009年12月 6日 (日) 22:18

■まろんさん

はじめまして。
少し前から読んでくださっていたとのこと、嬉しいです。ありがとうございます。

トムは全体的に左利き優勢だったのですが、3歳頃にオールドファッションな専門家(市職員)から「右手は言語を司る左脳と直結しているから、すぐに右利きになおしなさい」と言われたものの、夫の「非科学的である。ムリに矯正することはない」の一言で、利き手を決めずに6歳まで来てしまいました。

次に、1年前にたすくという療育施設の門を叩いた際(右側にリンクを貼っています)、「支援者が右利きのことが多いので、不利にならないよう、筆記・調理は右利きにしていきましょう」という提案で、筆記・調理を右利きにしていきました。学校の先生と相談したところ、食事はストレスになるだろうからと、左利きのままです。

で、どんなことが起こったかというと、それまで左利きだと思いこんでいたのに、右だけを使うよう気をつけ始めたら、右も左と同じくらい達者に操れるようになり、今では、ある分野では「器用だ」と言われるまでになりました。私の中では、「利き手を決めなかったから、その先に進めなかったのかも」という結論です。

利き手が定まらない状態では、無意識のうちに道具に対して近くにある手を使おうとすることがあると思います。
道具をお子さんの右側に置くことを徹底するだけでも、いろいろな場面で右手が出やすくなるかも知れません(あくまでも勘です〜)

発達障害を持つ子の中には、身体で覚えさせると飲み込みが早い子がいるんですが、そういう子は右利きにしておいた方が、手をとって教えてもらいやすくなります。そういう意味では、筆記は右利きにするメリットはあると思いますよ。

これからもよろしくお願いいたします。

投稿: Yoshiko | 2009年12月 7日 (月) 20:07

Yoshikoさん、ご丁寧にお返事をいただきありがとうございます。とてもうれしいです。やっと右に強制する決心が固まってきました。(まずは筆記から、おはしは様子を見たいと思います。)周りに筆記は右にした方がいい、と言ってくださる方はいたのですが「矯正=強制」という観念が私の中にあったのと、矯正によって起こる予測できないデメリットを恐れていたのです。でも、とてもすっきりしました。ありがとうございました!

投稿: まろん | 2009年12月 8日 (火) 09:04

利き手を決めたことで、今まで混沌としていたトム君の世界がすっきり整理されたということなのかな?だとしたら、利き手を決める効果って、すごい。

ちなみに、隠れLDの主人は両手利きなんです。お箸とお習字は右、あとは全て左。そのせいか、左右の認識が少し甘くて、東京から高速で帰ってくる時に、逗子方面へ行ってしまったことが何度かありましたね〜。なぜかいつも同じ道で間違えるんですよ。(笑)

投稿: 抹茶母 | 2009年12月 8日 (火) 10:06

この記事を読んで、長男を観察しました。
食事場面では右手で道具を使うものの、左手もでてくる。すぐそばにある物は左手を使う。
ブロック遊びでは、これまた器用に左右使い分けてます。右隅にはめるときは右手で、左隅にはめるときは左手で。私もやってみましたが、左隅は左手では無理でした。右に向きを変えないと無理なんです。
食事の時は食器を持たせたり、おさえたりのガイドをすればよいと思うのですが、ブロックはどうなんだろう。あまりの器用さに驚きました。

投稿: いぬ子 | 2009年12月 8日 (火) 21:48

■まろんさん

デメリットがあるとしたらストレスですから、はじめから長時間はやらない方がいいかもしれないですよ。
ま、徐々に…。また結果をおしえてくださ〜い!

投稿: Yoshiko | 2009年12月 9日 (水) 11:49

■抹茶母さん

クスリでも飲んだみたいにしゃきーんとなったのよ。両手が視界を遮っていたのもあるみたいです。

抹茶父さんに似てる(爆)うちの夫も右と左が混乱する場面があって、賢いのにねえ(ぷぷ)とよくからかってます。運転中、助手席で「左だね?」と聞かれて「そうだよ」と答えると、右折する…とか。スリル満点。

過去に何かの活動で右利きに矯正されたことがあると、なるみたい。 養老孟司さんもそうなんだって。LDよりも環境だと思うわ。

投稿: Yoshiko | 2009年12月 9日 (水) 11:56

■いぬ子さん

目的を何に設定するかだと思います。

ふだん利き手が固定されている子が便利だからと意識的に両手でブロックを扱うのと、利き手が固定されていないゆえに両手が出る/上達しているのとは意味が違うと思います。
ただ、ブロックをクールダウンのツールとして使っているなら追い詰めない方がいいような気も…。食事でもブロックでもない場面で、少し試せるといいかもね。…DVDの操作とか?お絵描きとか…??

ずっと片方の手を押さえつけてるわけにもいかないから、そういうときこそ、輪投げの棒の出番なの!つくるのが面倒だったら、小さな輪投げセットを買って来ちゃえばいいと思います。

投稿: Yoshiko | 2009年12月 9日 (水) 12:11

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