普通の子なら、家庭での生活や幼稚園での生活で自然に学んでいくであろうことが、トムにはピンとこない。
ピンとこないならこないで、
とりあえず心穏やかにそのままの日々を過ごす、という選択肢もあるのでしょうが、同年齢の園児たちを見ていると、園で意識的に働きかけたことや、家庭で関
心をもったことについて、きちんと親にフィードバックしているようです。あるいは、気づきのサインを出している。その結果、親や保育者がそれらをうまくす
くい取っていくことで就学準備が進んでいく。
でも、トムは、違います。
何度も繰り返し、それに特化して働きかけることで、やっと灯がともる。
これは、経験上の母の勘です。
であるならば、この時期に働きかけるべきことを、母親が先行して学んでおかなくてはならない。実際に働きかけるかどうかはトムの様子次第だけど、準備はしておいた方がいいだろう。
・・・などと考え、迷った結果、手に取ったのが「「もじ」と「かず」家庭ワーク」です。
凸凹のトムゆえ、書かれていることを頭から順番に実行に移すのには無理があるけれど、生活面でのどのようなことが学校での学習につながっていくかが、ロジカルに説明されています。家庭でのヒントがたくさん書かれていました。
そのなかでも目を引いたのが、「5冊の本を10日間毎日繰り返し読む」という項目でした。
いわく、
・同じ物語を繰り返し読んでもらっていると、言葉の理解力が深まる
・物語を深く楽しめると、「聞こう」とする意欲も高まる
・読んでいる文字を指さしながら、声をだして読むのもよい
・難しい言葉やいいまわしのある本、名作、昔話も積極的に取りいれる
・幼児期の読み聞かせは、その後の言語能力を左右するといってもいいほど重要
さっそく、その日から寝る前に5冊、読むようにしました。はじめは相変わらず全然聞かず、起きて走り出したり、絵本に目も
くれなかったり。今までの私はこれで半分キレ、読み聞かせるのをやめて自分の好きな本を読み出すことも多々。反応もない本を3日以上続けて読み続けるなん
て、考えたこともなかった。
でも、今回は覚悟を決め、ひたすら壁打ち練習のごとく、読み続けました。
すると、4日目くらいから、明らかに態度が変わり、きちんと横で絵本を聞くようになってきました。ジェリー向けに混ぜていた赤ちゃん用の絵本には、特に釘付け。一緒に文を繰り返します。
そこで、まずこれを一冊目に読むことにしました。
絵本を読み聞かせるのにこだわってはうまくいかず(障害がわかったとき、子どもと絵本を楽しめないことを宣告されたようで、本当に辛かった)、失望を繰り返していた母が、階段をひとつ昇った瞬間でした。
そのうち、パターンができてきました。
・赤ちゃん向けの絵本から入る=「おつきさまこんばんは」「かささしてあげるね」「たんたんぼうや」「かおかおどんなかお」「とってください」(福音館 あかちゃんの絵本)
・荒井良二さん・元永定正さんの絵本が大好き=「ゆっくりにっこり」「ぼくとチマチマ」「がちゃがちゃどんどん」「もこもこもこ」「もけらもけら」
・「こどものとも〈傑作集〉」から、文が少なめの本と長めの本をそれぞれ選ぶ=少なめの本として「かばくん」「おやすみなさいのほん」(詩の絵本)
・おやすみ系の本を最後に=「よるくま」「おやすみなさいのほん」「おやすみなさいフランシス」
これでもまだ寝入らないようなら、最初から読み直し。
ジェリーはこの前半で寝ます。
なかなか寝つけず寝苦しそうにすることの多かったトムも、長めの本になるとワクワク感が減るのか目をつぶり出し、私の声をBGMに穏やかな顔をして眠りに向かうようになりました。
そういえば今までにも、なかなか寝ないトムの横で、寝かしつけるのを諦めて夫婦でお喋りをはじめると、いつの間にかトムが寝ていた、ということが少なからずありました。
耳に届き続ける声に安心するのかも知れません。
同じ本を読み続けることの利点は、親も暗記してしまうことです。
暗記すると、電気を消した真っ暗闇でも、お話の語りきかせができます。シュタイナーは語りきかせを推奨していますが、確かに、語りきかせる方が、読みきかせよりも子どもとの呼吸を合わせやすい気はします。
ちなみに、今のジェリーが好きなのは、「きんぎょがにげた」「たまごのあかちゃん」。こっちは、読んでほしい本を積極的に持ってくるので、ひじょーに楽です。
諦めてはいけない。きちんと届いている。見守り続けることに意味がある。
これ、最近、担任の先生との合い言葉です。
目をつぶっていても、好きな箇所に来ると、ウフフと口角をあげて笑うトム。聞いてないように見えても、興味がないように見えても、ちゃんと聞いていたのね。なんだか絵本を好きになってくれそうで嬉しいです。
《オススメします♪》
☆就学にあたり、ドリルとかではなく何か生活面で準備しておくことがあるのでは、と思ったら…
「「もじ」と「かず」家庭ワーク」
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